2008年12月14日

エピソード0「眼鏡と帽子」

今回の小説は、ケタがシーリウに裏切られてから、
アジムとパートナーを組むまでの話です。
時間軸で言うと、第一部よりも前になります[゚д゚]

第一部を知らない人、ケタとシーリウの関係を知らない人は、
「月下の聖地後編」を読めば、なんとなくわかりますんで、
忘れてる方とかも先にこっちを流し読みしてると、
今回の話が理解しやすい・・・かも??


*******************************



正式には記録されてはいないが、
ガーディアンズのシーリウは
パートナーであるケタを裏切り瀕死の重傷を負わせ、
エンドラム機関へと寝返った。

その後、彼女は数年間行方不明となる。


そして、残された方のガーディアンズ、ケタは、
シーリウにより負わされた怪我により、
1年間身動きができず、心身共に深い傷が刻まれていた。









俺的PSUストーリー


zerotai.jpg


//



zero1.jpg


zero2.jpg


zero3.jpg















「・・・。

・・・またあの夢か・・・」



















・・・・・・





・・・・





・・・









ガーディアンズコロニー


F5 ガーディアンズ本部














zero32.jpg



アジム・・・君だね、

ガーディアンズへようこそ」










「・・は、はい」










zero4.jpg

ガーディアン本部の受付担当の女性の前にいるのは

みるからにジュニアハイスクールを卒業したての

幼さの残る、ニューマンの男の子だった。









(・・何日もつかな・・)



ミーナ(受付の人の方のミーナね[゚д゚;])はその男の子をみながら

そう心の中で呟いた。













ガーディアンズになるのはそれほど難しくはない。

ジュニアハイスクールを出て、

これまでの経歴に人間的な欠陥がない限り

ガーディアンズになることはできる。










・・・・しかし、

その後、一人前のガーディアンズとなれるかは、

まったく別問題なのだ。

























「そこで待っててね。

あなたの研修を受け持ってくれる

ガーディアン
が来るから・・」






「は〜い」




アジムはそう促されて、

近くにあったイスに腰掛けた。






そして、やや緊張した面持ちで、

自分の教官となるガーディアンがくるのを待つ。




















ガーディアンズになるとまず最初に

ガーディアンズ研修を受けなければならない。


















実際にベテランのガーディアンズと共に、

簡単なミッションをこなしていき、

経験を積ませると同時にガーディアンズとしての

素質を図るわけである。





生半可な決意でガーディアンズになろうとしたものは

この研修にてすぐに消えていってしまうのだ。
































「・・お前がアジムか・・?」



「・・・は、はい!」


不意に声をかけられて、

アジムはイスから飛び上がった。












いつのまにかヒューマンの長身の男が立って、

アジムを見下ろしている。

















その男と目が合った瞬間・・・、

アジムは思わず表情を強張らせた・・・。











zero6.jpg


長身の男だった。







小柄のアジムと比べると、

比喩ではなく、まさに大人と子供だ。








そして、その男の額からは

大きく切り裂かれたような

傷が首にまで伸びており、

左の白目の部分が充血で真っ赤だ。












しかし、それよりもなにより、

気になるのは・・・



























「俺がお前の研修を担当するケタだ。

・・・・よろしくな」




「・・・あ。

は、はい・・・」




希望に燃え、

ガーディアンズへの道を進みだしたアジム。












だが、その教官・・・



ケタと名乗ったそのガーディアンの目は・・、























zero5.jpg



黒くよどんでいた・・・・。





















・・・・・・






・・・・





・・・







一週間後



惑星パルム

ラフォン平原












この日は、アジムのとって

ガーディアン研修の3日目。









ケタの引率の元、

ラフォン平原のコルトバ牧場周辺へ

降りてきた凶暴化した原生生物の排除という

簡単なミッションへ出向いていた。















「・・・コルトバって

凶暴化すると怖いんだねぇ〜・・」







「・・・あぁ」







「食べるとおいしいのにねぇ〜・・」







「・・・そうだな」







「あ!今のなに!?」








「・・・しらねぇ」







「・・・・」








「・・・・」









zero7.jpg


アジムは軽くため息をついて

これ以上、会話を続けるのをやめた・・。






最初はただ慣れていないだけで、

ぶっきらぼうなのかと思っていたが、

まるで会話にならないのだ。










「・・・・」


なにしろアジムの教官であるはずのケタには

ほとんどやる気が感じられず、

最低限の事しかアジムに教えない。



























しかし、それよりもなにより・・・、


アジムは気付いていた・・・・。




















アジムが武器を持っているとき・・・、






ケタが絶対にアジムの射程内に

近寄って来ない事に・・・・。

















その様子はまるで・・・・、

























zero8.jpg


アジムを警戒しているかのようだった・・・。















・・・・・・





・・・・・





・・・・





ケタのマイルーム




「・・・くっそ・・」




目を覚ましたケタはベットの上で

汗を拭って毒付いた・・・。







呼吸は荒く、手は震え、

憔悴しきった表情だ。





















意識が戻ってからもずっと見ている悪夢だ。


















いや、悪夢ではない。



現実に起きた記憶を

夢の中で何度もリプレイされているだけだ。


















ケタは・・・

長年コンビを組んでいたパートナー、

シーリウに突如裏切られた。








シーリウがガーディアンズからエンドラム機関へと

寝返る際の、'土産'として、

パートナーであるケタを殺そうとしたのだ。












ケタはシーリウと共に出撃した最後のミッションの

最中にシーリウにより

崩壊する基地の中へ閉じ込められた。






かろうじて一命を取り留めたケタだったが、

まともに動けるようになるまで1年かかった。







つい最近退院したが、

それでも体には重大な後遺症が残っている。








そして・・・、

その時、裏切られたショック、

生き埋めにされた恐怖が毎晩鮮明な映像で、

ケタの頭の中に流れるのだ・・・。

















しばらくベットの上で

頭を抱えていたケタだったが、

枕元においてある時計を見て目を細める。













「・・・今日は、

通常のミッションだったな・・・」



そう呟いて、起き上がった。









この日はアジムとかいうガキの研修ではない。






知り合いのガーディアンズのミッションを

手伝う約束があったのだ。






ケタは汗を拭って出撃の準備を始めた・・・。











・・・・・・・




・・・・・





・・・






惑星パルム


西区画 オープンカフェ






「・・・」



「・・・苦戦したな・・」





ケタと今回ケタと共に出撃した

女性ガーディアン、テルーは、

ミッション終了後に一息入れていた。







2人の実力ならば簡単に終わるはずの

ミッションだった・・・が、

予想外の苦戦を強いられたのである。





なんとかミッションは成功させることができたが、

2人の顔は暗く沈んでいる。

























「・・・なんだ?」



ケタは

運ばれてきた飲み物に手もつけずに、

自分を睨んでいる視線に気付き、

かったるそうにそう尋ねた・・・。






テルーは

明らかな不信感をあらわにしたまま、

ケタを睨み続けている・・・。

















「なんだよ・・・。

苦戦したのがそんなに気にさわったか?」




「・・・なんで苦戦したのかさえ

わかってないの?あんたは・・・」



テルーは、ケタの言葉に、

よりいっそう顔を歪めながらそう言った・・・。
















「・・・・なにが・・だ?」






「ミッションの中・・・、

私があなたの背中を護ろうとした時・・・、



zero9.jpg


あなた私を攻撃しかけたでしょう・・・?」







「・・・」






「それだけじゃないわね。

とにかくミッション中、ずっと私を警戒してた。

パートナーを信頼できないで・・・、

本来の力が出せるわけないでしょう!」









「・・・そんなつもりは・・」








なにか言いかけたケタを尻目に、

テルーは立ち上がりケタを再び睨み付ける・・・。









しかし、その視線は先程までの

不信感を抱いたものではなく、

哀れみに満ちていた・・・・・。




















「あんた・・・、

あの事故以来まるで別人よ・・。

崩壊する基地の中で生き埋めになった時・・・

いったい何があったというの・・?」








「・・お前には関係ない・・・!」







「その時の後遺症で、

その特殊な眼鏡がなければ体に異常が起きる

後遺症が残った
っていうけど・・・、


あなたの本当の後遺症は、その心ね」






「・・・」






「・・・・。

信頼できない相手と

パーティは組めないわ・・・」








テルーは・・・、

寂しそうにそう呟いて、

カフェから出て行った。








カフェにケタ1人を残し、

一度も振り返ることもなく・・・。
















































「・・・。

お前に何がわかる・・・・。

















zero10.jpg


シーリウでさえ・・・





















zero11.jpg

俺を簡単に捨てたんだぞ・・・・」










取り残されたケタは・・・、


吐き捨てるようにそう呟き、


机の上で拳を握り締めていた・・・。





































しかし・・・・



言われた事は図星だった。















ケタは数年間一緒に戦ってきた

パートナーであるシーリウに裏切られてから、

他人が恐ろしくて仕方がなかったのだ・・・。

















みんなが自分を裏切る気がする・・・、


















持っている武器をこちらへ

向ける気がする・・・・、


















最も信頼していたシーリウに

裏切られてから・・・、

ケタは完全な人間不信の状態となっていた・・・。


















・・・・・・・






・・・・・






・・・





数日後



惑星ニューデイズ

ミズラキ保護区








アジムのガーディアン研修の4日目。









今日のミッションは

ミズラキ保護区の暴走した原生生物の駆逐である。









張り切って先頭を歩くアジムに対し、

ケタはやはりある程度距離をおいて

ついてきている。

















「ケタさんって背ぇ高いよね〜」






「・・まぁなぁ〜・・」






「僕、背ぇ低いからなぁ〜・・・、

大きい帽子でも被ったらちょうどいいかな・・」







「そうかもなぁ〜・・・ん?」







不意にケタが足を止め、

アジムが首をひねった。

















「どうしたんです?」





「いや・・通信だ・・・。

なんだろうな・・・」





ケタはガーディアンの通信機の回線を開き、

アジムは近くの木の根に腰掛けた。











「こちらケタ・・・、あぁ、なんだと?

待ってくれ。こっちは研修中だぞ?」





「・・・なんだろう?」




通信器に耳を当てているケタの表情が曇り、

アジムが何事かと不安そうに顔を覗かせた。




















「・・・わかったよ・・。

とにかく早く援軍を呼んでくれよな?

・・・あぁ、期待すんなよ」




ケタは鼻をならして、通信をきった。
























「・・なんだったの??」







非常事態だとさ。

テンゴウグ・・・まぁ、ここに住むモンスターだがな、

そいつが民間人を襲っているらしい


近くにいるのは俺達だけらしい、

すぐに救助に向かってくれだとさ






どうもミズラキ保護区にきていた民間人に

テンゴウグが襲いかかり、

現在、救難信号を発しているらしい。






その現場に一番近かったのが、

ガーディアン研修中のアジムとケタだった。






人命がかかっているときに、

研修中だなんだは関係がない。






とにかく戦える人間を救助に向かわせるのが

最優先なのだ。
































「じゃぁ・・急がないと・・・!」








「わかってる。

研修にしては人命がかかっちまったが、

まぁ、いいか」






ケタとアジムは、

ガーディアン研修を切り上げ、

とにかく救難信号のでている方向へと

向かって走り出した。


















・・・・・・







・・・・・






・・・





惑星ニューデイズ

ミズラキ保護区  e-3





「あれか!」


ケタとアジムは走りながら、

前方にいる民間人とテンゴウグをみつけた。














民間人らしい2人は、

木の根の隙間に入り込んで身をこわばらせており、

その2人に向かってテンゴウグが必死に

牙から爪やらを伸ばしている。




















「ケタさん!早く助けないと・・!」




「わかってる・・!見てろ!」


ケタが走りながらツインハンドガンを

取り出し、テンゴウグに向け放った!













「ギガァァア!!」

ケタのツインハンドガンから放たれた弾丸は

真っ直ぐにテンゴウグの目玉を撃ち抜き、

テンゴウグが絶叫を上げながら地面を転がる。















ツインハンドガンを撃ちながらも走るスピードを

緩めてなかったケタは武器をセイバーに持ち替え、

倒れたテンゴウグに向かって飛び掛った!















「・・・ふんっ!」


「ギ・・!」



ケタのセイバーがテンゴウグの胸に突き刺さり、

一瞬呻いた後、動かなくなる。


























「・・・」

セイバーを引き抜いたケタが

顎で民間人を促し、

よろよろと木の根の間から、

2人が出てくる。





少々傷を負っているが、

どうやらたいした怪我はしていない。


















「すみません・・・助かりました・・」



「まぁ、無事でよかったな・・」



ケタは関心がなさそうに

首をひねりながらそう言った。

民間人の2人は何度も頭を下げながら

中継地点の方へと歩いていく。






気だるそうなケタの後ろで

ゆっくりと周りを警戒しながら

近寄ってきたアジムが、

動かなくなったテンゴウグを覗き見る。


















「・・・・」





「・・・?

どうした?アジム」









「こいつ・・・死んでるよね?」






「・・・あぁ?」





アジムの言葉にケタは眉を潜め、

アジムの後ろからテンゴウグの死体を

覗き込んだ。










ニューマンは種族的にヒューマンよりも

鋭い感応力を持っている。





ケタが感じ得ない何かを

アジムが感じ取ったとしてもおかしくはない。
















・・・しかし、


やはり絶命している。



























「・・・死んでるだろ・・??」





「・・・。

僕、こいつの気配をまだ感じるんだ・・」






「・・・!」




zero12.jpg

アジムがそう呟いたと同時に

ケタの後ろの木々の間から、

4匹のテンゴウグが飛び出してきた!!















「・・・ぬっ!!」



ケタがとっさに地面を転がり、

飛び掛ってきたテンゴウグの爪を間一髪かわした!

















「ケタさん!!」



「そうだった・・・!

テンゴウグは群れで行動するんだった・・」




ケタが再びツインハンドガンを構え、

周りを囲うように飛行しているテンゴウグを

にらみ付けた!












「ぼ、僕も、応戦する・・!」


アジムがロッドを取り出して、

ケタに駆け寄る!













いくらケタでも1人で

テンゴウグを4匹同時に相手をするのは不利だ。









新人のアジムでも、

いないよりはマシ・・・そう思った。


























しかし・・・・!

























zero13.jpg



武器を持ったアジムが近寄った瞬間、


ケタの表情が強張った・・・。





















「ぐ・・・!余計な事はするな・・!!

お前も中継地点へ向かって走れ!」








「・・でも!」








「足手まといなんだ!ガキが!!」










「・・・ぅ」







ケタに一喝され、

アジムの足が止まった・・・。









テンゴウグは明らかにアジムより、

ケタに注意がいっているため、

アジムには襲い掛かってきていない。






4匹の連続攻撃を危なげにかわしながら

ケタがツインハンドガンを放つ!






















「とっとと離れろ!

この状況でお前まで護れん!」





「・・・!」




アジムは・・・一瞬迷ったが、

テンゴウグと戦っている

ケタに背を向けて走り出した。














何度か振り返りながら・・・、





まっすぐに中継地点へと・・・・。



















ケタを・・・





置いて・・・・













・・・・・







・・・・






・・・






「・・・がぁあ!」



さすがにテンゴウグ4匹を

同時に相手にするのは無謀だった。









アジムに手伝ってもらいたいのは山々だったが、

正直、今のケタの精神状態では、

下手をすればアジムまで攻撃しかねない

自分でわかっていたのだ。











「くっそ・・!」



左手をやられながらも、

ケタのセイバーが4匹目のテンゴウグの

頭に突き刺さり、血しぶきが辺りに舞った!












そのままセイバーを引き抜く余裕もなく、

ケタはそのまま地面に肩ひざをついて、

肩で大きく息を吐く・・。













なんとか、テンゴウグを4匹倒したが、

かなり消耗してしまっていた。






























「!?」


zero14.jpg


倒したと思っていたテンゴウグの1匹が

放ったバータが、ケタを直撃・・・。













(まずっ・・・!)




ケタの命綱ともいえる眼鏡が壊れ、

音もなく地面に落ちた・・・。














・・・・・・







・・・・・






・・・・














zero19.jpg



zero18.jpg



zero17.jpg



zero16.jpg



zero20.jpg




zero20.jpg




zero20.jpg




zero22.jpg




zero23.jpg




zero21.jpg



zero24.jpg


















「・・・ぅ」



いつもの悪夢・・・とは少し最後が

違っていたが、ケタはとにかく目が覚めた。







そして、

顔だけ動かしてあたりの様子を伺う。





















「目が覚めた?」




「・・・・」




ケタがいるのはどうやら病室らしい。










テンゴウグを仕留め損なって、

眼鏡を失ったところまでは覚えている・・・。






だが、その後ケタは完全に行動不能に

陥っていたはずだ。







救助でも来たのだろうか・・・・。



















事態がよくわかってないケタ。







そのベットの横でテルーが、

黙ったまま、お見舞いのリンゴをむいている。































「・・お前が助けてくれたのか?」






「・・・私じゃないわ。

あんたが教育していた新人のコよ」








「・・・なんだと・・!?」



テルーの言葉に、ケタが目を見開いて、

体を起こし・・鈍痛に顔をしかめた。







テルーは無言のまま、

ケタを再びベットに横にして落ちつかせる。





















「あんたに逃げるように指示された後・・・、

どうしても心配になって戻ったそうなのよ。



zero25.jpg


そこで・・戦闘不能になったあんたを見つけて、

死に物狂いで救出したそうよ・・」










「・・・・・」








テルーの口調はきつくはない。

しかし、まるで悪いことをした子供を

叱る時のような厳しさを含んでいた。







ケタは呆然とした表情で天井を見上げる・・。

























「俺は・・・あのガキが



信用できなかったから・・・、

遠ざけたんだぞ・・」








「・・・だと、思ったわ」






吐き出すようにそう呟いたケタに

テルーはため息まじりにそう言う。




ケタとテルーはしばらく押し黙って、

虚空を見つめていた。




















「あのガ・・、アジムはどうしてる?」





「あの子も重症よ。

今は違う病棟で2週間入院するそうよ」








アジムは、戻った後、

戦闘不能になったケタを担いだまま、

モンスターを振り切り

ミズラキ保護区から脱出したのだ。




安全なガーディアンズ用中継地点まで

たどり着いた時、

アジムは失血と疲労でその場で崩れ落ちたらしい。






新人ガーディアン見習いのアジムに

そこまでできた事の方が奇跡に近いだろう。











そのまま、

ケタとアジムは病院に担ぎ込まれ、

入院することになったのである。




まぁ、ケタの場合、

戦闘不能になった理由が別なので、

病棟は違うわけだが・・・。


























「そして、あの子の教官からあんたは

外れる
ことになってるわ。


ま、事情を考慮しても

教育中の新人をあんなメに遭わせれば当然ね」






「・・・そうか・・」






ケタは、大きく息を吸い込み・・・、


静かに目を閉じた・・・。















「あの子は、あんたの指示を背いてまで・・・、

あんたを見捨てなかった
のよ・・・。


・・・・わかる・・?」








「・・・」









病室から出るときにポツリと呟いた言葉に・・・、


ケタは何も言い返せなかった・・・。





・・・・・・・







・・・・・






・・・







一週間後


アジムの病室







「よ・・いしょ・・」



アジムはベットから起き上がり、

立てかけてあった松葉杖を手繰り寄せた。






足の筋を強く痛めているため、

まだ普通に歩けるほどではないのだ。





レスタで体表面の傷は治せても、

このあたりはどうしても自然治癒に任せるしかない。・





アジムがひょこひょこと、

病室から出ようとした時・・・・


















「具合はどうだ?」





「あ。ケタさん・・」





アジムと鉢合わせるように、

ケタがアジムの病室へと入ってきた。















いきなりの事で、アジムは面食らって、

後ずさり思わずベットにペタンと座り込んだ。







ケタは無言で

座り込んだアジムを見下ろしている。

























「・・・」


アジムは、ケタを助け出したとはいえ、

それはケタの「逃げろ」という命令に

背いた事でもある。








ケタはアジムの教官から外れたと聞いたが、

やはりなにか一言いいにきたのか・・?

























それとも・・・・












































「・・・・」




長い沈黙の中、


ケタが手に持っていたカバンを開け、

中に入れていたモノをアジムに向かって

放り投げた。












「え?」


アジムはそれを受け取って、

目を丸くする。
















zero26.jpg


それは・・・、

大き目の・・緑色の帽子だった・・・。





























「それくらいボリュームのある帽子なら、

少しは身長差もごまかせる・・・かな、と」







「ふぇ?」






アジムは受け取った帽子をケタを交互に見ながら、

混乱した頭を整理させようと努力していた。















もしかして、この前、

場つなぎに適当に言った



(僕、背ぇ低いからなぁ〜・・・、

大きい帽子でも被ったらちょうどいいかな・・)




て、言葉を真に受けて・・・?























「・・・」




「・・・」




お互い何を言えばいいのかわからず、

アジムとケタは無言で向かい合っていた。












zero27.jpg


しかし、今までの沈黙のような、

息苦しいような沈黙とは違う気がする・・・。













しばらくしてケタが

ガシガシと頭をかきながら口を歪めた。








俺はお前の教官はクビになったんで、

一緒にミッションに行く事はなくなった。


お前の教育は別のガーディアンが引き継ぐ」







「・・・は、はぁ・・」






「新人研修が終わって・・・、

それでもガーディアンをやるなら・・・。


んで、気が向いたら・・・

俺に連絡を入れてくれないか・・?」







「・・・」






ハトが豆鉄砲をくらったような表情のアジムの前で

ケタが眼鏡を直し、

引きつったように笑顔を作る。

















「もう一度、

人を信用してみるのも悪くないかもしれない。



zero29.jpg


次までには、

このも、もちっとは治しておくわ」




ケタはそう言って自分の親指を胸に当て、

「傷」を顔の傷と思ったアジムは少し顔を傾げた。






まぁ、事情を知らないので、

それは当然だろう。












反応の薄いアジムに

ケタは自嘲するように再び口を歪めた。























「まぁ・・、今は早く怪我を治してくれ。

邪魔したの・・」









「・・・」












「マジで・・・助かったわ・・」




ケタは最後に小さくそう呟いて・・、

アジムの病室から出て行った・・・。










「・・・・」







病室に残されたアジムは・・・







zero28.jpg

わけがわからず、

ケタの残していった帽子を眺めながら、

ポリポリと頬をかいていた・・・。














・・・・・








・・・・








・・・







一ヵ月後



惑星パルム

ラフォン平原









退院後、

別のガーディアンが教官を引き継いだ

新人教育を無事完遂したアジムは、

正式にガーディアンズとなっていた。








ガーディアンズとなったアジムは、

少し迷ったが、

元教官であるケタに連絡を取り、





今日、・・・再会する事になっている。

























あの男は・・・



何か変わっているのだろうか・・・





































zero30.jpg


「いやあ〜、

医学って凄いなぁ、言ってみたら

マジで消してくれたわ。顔の傷〜。

やっと目の充血もなくなったしの〜」






「み、みたいだね・・」













「はっは〜。

いい感じじゃないか、その帽子。


そういやぁ、帽子ってのはかなりの

アイデンティティ(存在意義)だぜ。



ほら、ナースのAVでもナース服は脱いでも、

ナースキャップは取らない。


スチュワーデス物も同じだの」







「え、そうなの?

僕まだあんま見たことないんだけど」






「あ〜。そういやぁまだ未成年だったなぁ。

俺の編集AV貸してやろうか?」






なんというか、

一ヶ月前とは全くの別人のようなケタに

アジムはかなり戸惑っていた。



















これが本性だったのだろうか・・?
















「ケタさん、

以前と違って、妙に明るいねぇ」







「・・・まぁ、この間は

傷のせいで、顔が引きつって

いまいち笑えなかった
んだよなぁ〜」

















アジムの問いに、

ケタは顔の傷のあった箇所をなぞりながらと笑った。
















どう考えても、以前のケタが

傷のせいで笑えなかっただけとは思えないが、

今が随分と楽しそうなので、

無粋なことは聞かないでおこう、と

アジムは心の中でそうまとめた。







「じゃぁ、早速ミッションでもいくか。

今日はどのミッションをこなすかねぇ〜」







「へ?ケタさん、

考えてたんじゃないの?」







「俺がそんなん考えてるわけないじゃん。

じゃ、とりあえず支部に問い合わせて、

適当に今日の飲み代稼ごうぜ」






「あっはっは。

じゃぁ、僕はなんでもいいよ、ミッション」









ケタとアジムは

ケラケラと笑いながら、

ラフォン平原を歩いて行った・・・・。






zero31.jpg


この日を境に、


ケタとアジムはガーディアンズの


パートナーとして行動を共にするようになる。











そして、その後、様々な仲間との出会いや


激しい戦闘を繰り返し、


ガーディアンズとして成長していくのである・・。

























      俺的PSUストーリー エピソード0 「眼鏡と帽子」 
    







*****************************



はい。


1話完結なんで、

ちょっとはしょってるけど、

大体こんな感じでした!










まぁ、王道っていえば、王道の話なんだけどね[゚д゚;]






いやぁ、ケタ描いてて、こんなにきつかったのは初めてだ。


もう格好悪過ぎて・・・。












「なぁーに、ウジウジしてんだてめぇわぁ!」

俺が勝手に思いながら描いてた(^^;





でも、まぁ、仲間に殺されかければこうなっても

仕方ないんじゃないかなぁ〜・・・と。





んで、今回の話は、マジでギャグなかったから、

こっちのほうでも俺にストレスが・・・!!





やっぱ封印しっぱなしの方がよかったかな、この話。




次に作る小説はもっと明るい話にしたいなぁ(−−;



















PS,

小説にエネルギー使いすぎて、
気付けばこの時間。


プレイ日記とか、リアルごとはまた次の記事で書こう〜。

おやすみじゃーw
この記事へのコメント
久々にいい小説読めた気がするぞ。
途中の描写がすごく心が痛かった。
絵も暗さの雰囲気出てたから話にマッチしてたと思う。
普段の楽しげな話もいいがたまにはこういう話があってもいいと思うなー。
何にせよ面白かった。

そーいや結構前に告知があったピンクパート2って…いやなんでもない。
Posted by 龍牙 at 2008年12月15日 00:53
これが本当のケタくんなんですね!
ある意味このままネットでロールしてたら、また違った出会いがあったのかも?
あ、プレイヤーは関係ないかw

小説はちょっと、暗めでしたが、最後の挿絵がすごくよかったぁーーーー!
ウルウルしちゃったね
Posted by シューゴ at 2008年12月15日 13:05
おひさしぶりっす〜
傷状態のケタさんのダークっぽさに震えた!
いやぁ、最後の病室のやり取りなんて目がうるっときちゃいましたよ〜
そして、傷が直ってからのギャップもいい(゚∀゚) !!
そして、22時までお疲れ様でした。
Posted by とるおるぜろ at 2008年12月15日 13:39
荒んだケタをみて、手書きバトンのタイラーに似ていると思ったのは俺だけに違いない

一ヶ月でアレだけ変われるとはwwwさすがとしか言いようがないwww

「俺を簡単に捨てたんだぞ」を「俺は会社からリストラされたんだぞ」に変えたらすごく吹いた。
俺はもう駄目かもしれない。。。
Posted by メタル茸sp at 2008年12月15日 17:21
なんというかっこいいシリアス・・・

そして凄い変わりっぷり( ゚∀゚)

その治る前の目の傷、ネメシスに似てる気がした(向き違うけど)・・・
Posted by ネメシス at 2008年12月15日 20:24
ケタかっこ悪いよケタ
でも実際こんな目にあったらそうなっちゃうもんだよなー。


>ギャグがなかったから〜ストレスが
わかるわかるw
真面目な話って書いてて疲れるよね!
Posted by Lenios at 2008年12月15日 20:58
まぁ、アレだけのことがあればそうもなるわな…。
まして強い信頼持ってた人相手に裏切られれば、なおさら―――

それでも身をもって氷を溶かしたアジム君はさすがだw

ホント、良い話でした…!!
Posted by えむ at 2008年12月15日 23:09
ケタの変化に順応してるアジムの懐の深さに泣いた。

小説に負けず挿絵もよかったです。
病院での最後のケタには惚れた。
ケタさん絵の魅力は、渋味、そして唇だと思っている。異論はm(ry


兎にも角にも面白かったです!
Posted by B at 2008年12月17日 00:45
うーむ、久しぶりの俺ストシリアス^^;
しかし二人の出会いにこんな話があったとは
思わなかったなー。
普段の俺ストのケタちー見てる限りでは人間不信とかまったく感じられなかったしね。
そして見ていて思ったアジ君のジンクスの発足点はここからかwww
ケタちーはボツにしようとしてたみたいだけどこれは
出してよかったと思う。話に深さができたというかね♪
イラストもリキ入ってて良いですのぅ♪
アジ君のかわいさに幼さ加わってなおい(興奮しすぎ)www
こういうのは読む側的にはすっげ惹かれるからいいと思うよー^^*


そいでは!

Posted by 雪夜・ミヤシロ at 2008年12月18日 00:44
かなり真剣なケタさんの顔、恐らく始めてみた気がします…(コラ
ストーリーとは裏腹に、挿絵のほうでは真剣なケタさんに対して、アジムさんが本気でジュニアハイスクール卒業したてに見えたから怖い・・・(゚A゚;)

でも、人間関係の中にある信頼とかそれに裏切られたりと、意外と考えさせられながら見ていました。



最後に元通りに戻ったケタさんに腹筋崩壊したのは内緒ですが(ぁ

んでは(゚A゚)ノシシ
Posted by 黒 at 2008年12月21日 10:17
>龍牙
お。そうかい?
今回はダークオーラ全開で書いたから、
結構俺もしんどかったんだわなぁ。
まぁ、普段との緩急ってことでのw
ピンクその2は小説半分かいて止まってる・・・。
小説なかなかかけねぇ・・・。


>シューゴ さん
機嫌悪いときの俺だの!
って、こんなプレイヤーいたら、
ハブにされちゃうぞぅ(^^;
劇中のケタみたいに・・・。
最後の画像はスシ食ったあとのお茶みたいな感じで、
暗い内容を洗い流すのだ!


>とるおるぜろさん
ダークケタは見た目は悪くないんだけど、
内面が格好悪過ぎるw
実はUPしたのは22時になってるけど、
これから調整してさらに一時間くらいかかってる・・・


>メタル茸sp さん
あ、たしかに野生身溢れるタイラーと
同じ雰囲気を感じるねぇ〜・・。
「俺はリストラされたんだぞ」は、
いまのご時勢、あんまシャレにならねぇww


>ネメシスさん
たしかに今までの話の中で、
5本の指に入るくらいシリアスだったな〜。
目の傷が似てるって・・・、
まぁ・・たしかに・・似てる?w


>Leniosさん
真面目な上に暗いはなしだったからねぇ〜。
信用されてた相手に裏切られると
マジで色々余計なことまで深読みしだして、
誰も信用できなく・・w
って、そんな気持ちになりながらかきましたw


> えむ さん
そう!そしてアジムには全然自覚がないのが、
ポイントだ!!
信用とか気持ちって結構なんかの拍子で
なおったりするよねぇ〜w
いい話・・になってよかった!


>B さん
まぁ、アジムはケタが変わらずにきてたら、
どうしてたんだろうねぇ(^^;
おぉ、イラストの唇に目をとめるとは嬉しいね!
実は、結構唇の描写には気をつかってるのだ。
下手に描くとタラコになると、
薄いと感情に乏しいし・・・。



>ミヤシー
アジムの「無茶→病院送り」は、
すでにこの頃から・・!
アジムは・・まぁ、この頃はマジで
子供あがりって感じなので、可愛く・・・。
年齢的には15〜16?
わっけ(^^;
とりあえず結構評判悪くないみたいなんで、
ボツにしないでよかった。


>黒さん
ケタの本気顔はめったにでないからねぇ〜(^^;
本気でエロ系のときの顔とはちと違うし[゚д゚]
人間関係の難しさを示唆した話でしたな!
俺の今の会社の人間関係みてぇ!!
元に戻ったケタはやっぱ描いてて楽だったw
Posted by ケタ at 2008年12月23日 17:46
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。